<研究発表・報告>7 「奥中康人『国家と音楽―伊澤修二がめざした日本近代』について」
洋楽文化史研究会第55回例会(東京大学・駒場キャンパス)
奥中康人『国家と音楽―伊澤修二がめざした日本近代』(春秋社、平成20年)を評した。これまであいまいなままにされていた伊澤修二の思想を、本作品が明確に論じたことの意義は大きいと述べた。さらに、本作品を踏まえてなされる今後の研究の可能性に言及し、明治期の日本の音楽思想について検討するにあたっては、不平等条約改正という国家的な目標と深く関係する文化政策の側面を看過すべきではないことを指摘した。