<小論・記事等>4 「私的解題・早坂文雄~主要作品に寄せて『序曲ニ調』(1939)」
オーケストラ・ニッポニカ第10回演奏会「早坂文雄作品展」プログラム冊子、14頁
早坂文雄の「序曲ニ調」について、彼の「日本的なもの」に関する思想と関連付けて述べた。バッソ・オスティナートを多用しそれを「民族的」であるとした伊福部昭の音楽と対照的に、早坂の音楽では「民族性」はそのようにわかりやすく表現されない。「序曲ニ調」は反復に伴い高揚するものの、最終局面でも弾けずにパワーを保持したまま終わる。早坂の「民族性」はこのエネルギーの凝集において表現されているのかもしれない。